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【30代で観ろ】新海誠『秒速5センチメートル』無料動画の感想

秒速5センチメートル桜の木の下を少年と少女が歩く

新海誠監督作品

『秒速5センチメートル』を

36歳の男が1人で観た!

しかも2回!

にゃん
なんだか寂しいにゃん

2007年に公開された映画『秒速5センチメートル』ですが、2020年の今さら私は観賞しました。

そこはかとないタイトルが前々から気にはなっていましたが、ようやく観ることができたので、感想を綴ります。

「ねえ…秒速5センチなんだって。桜の花の落ちるスピード。秒速5センチメートル」

こんなセリフから物語は始まります。

ちなみに無料で観れるので試してみてください。62分の映画ですが倍速使えば40分くらいで観れます。
新海誠監督作品『秒速5センチメートル』
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秒速5センチメートルを観た感想と名言

秒速5センチメートルを2回観賞した感想と、心に沁みた名言をご紹介します。

30代で観るべし

まず始めに、この物語にハッピーエンドはない

おそらく10代の思春期真っ只中で観ると、この物語は人生のもの悲しさをひどく感じてしまうだろう。

30代の私が観ても感じるのだ。

この主人公はいったい今後生きていけるのだろうかと。

いったい何を視聴者に感じさせたいのだろうと。

この物語は、30代くらいの人間が観て、「あぁ青春の恋ってこんなに切ないものだったなぁ」と心締め付けられたあの頃を思い出す作品だと思う。

決して青春ど真ん中の子供たちが観て共感できる内容ではない。

そんな訳で私はオススメしない。

観るなら少なくとも20代後半になってから。

10代で観てはいけないと言うわけではない。

ただこの作品の真髄を感じたいのなら10代で見るべきではないということ。

 

新海誠という監督のもっとも得意とする【人間の心情だけを叙情的に語らせる】この映画はまさに新海誠の真骨頂だと思う。

 

どうしても若いうちに観たいのなら観てもいいけれど、30代になった時にもう一度観て欲しい。

10代で観たときよりも印象が大きく変わるはず。

セリフがない

ハッキリいって私はこの秒速5センチメートルという作品が好きになった。

難しいことはない。

ひたすらに、登場人物の心の声(心情)だけが語られ、ストーリーが続くからだ。

よく映画を観終わると、「この映画は結局何が言いたかったのか?」などと評論家のようなことを言い出す人がいるが、私はそんなことはしない。

そんなもの考える必要ないのだ。

純粋に登場人物になりきれば映画は楽しめる

そのためには、登場人物が何を感じ、何を考えているのか分からなければならない。

そんな登場人物の心情をこの秒速5センチメートルではみなが苦しいばかりに語ってくれている。

まるで「さああなたも登場人物になりきってください」と言わんばかりに。

正直、胸が締め付けられるので感情移入したくなくなるが…。

観た方はすぐ気づいたと思うが、この作品は、登場人物同士の会話がほとんどない。

ほとんどが心の声や想いを託した手紙の内容だ。

これがたまらない。

結局人間は自分が世界の中心で一生過ごす。

誰よりも自分との会話が多いのだ。

そして、現代はコミュ障などといって、コミュニケーションが苦手な人々が増え、より一層自分の心の声を聞くことが多くなっている。

そんな現代人に見事に寄り添う手法だと感じる。

公開された2007年の人々よりも、2020年の今現在の人々の心をとらえてくれるような気がする。

SFでもファンタジーでもなく現実

新海誠監督のコメントで

我々の日常には波瀾に満ちたドラマも劇的な変節も、突然の天啓もさほどありませんが、それでも結局のところ、世界は生き続けるに足る滋味や美しさをそこここに湛えています。~中略~観終わった後に、見慣れた風景がいつもより輝いて見えるようなそんな日常に寄り添った作品を目指しています。出典:秒速5センチメートル公式サイト

新海誠監督と言えば、今や『君の名は』『天気の子』のように、SFやファンタジー要素のある作品のイメージだ。

しかし、2007年とは言え、当時この秒速5センチメートルにそういったSFやファンタジー要素がない理由がこの監督のコメントに現れている。

エンターテイメント性を求めると、どうしてもハッピーエンドを盛り込まなければいけない流れになりがちだが、それをあえて描かなかった理由。

この秒速5センチメートルで考えると、ハッピーエンドは貴樹と明里が再開し結ばれるという話だろう。

しかし、そんなことは現実では起こりうることではないのだ。

この作品の中ではハッピーエンドは描かれなかったが、彼らは彼らの人生の中でこれからも生きていくし、そこに終わりはないのだ。

私たちの現実世界でも物語になるような話は気づいてないだけで、いくつもあるかもしれない。

しかし、ハッピーエンドなんて意識したことはない。

そこにあるのはただひたすらに生き続けるということ。

気づいてないだけで、ハッピーエンドなんてよく起こっているのかもしれない。

主人公の貴樹が最後に見せた笑顔が彼の中でようやく1つのハッピーエンドを彼なりに見つけたのだろうと感じている。

『君の名は』『天気の子』では映画としての好かれる要素がふんだんに取り込まれているが、新海誠監督の純粋なるアニメーション監督としての実力を感じ楽しみたいのであれはば、この秒速5センチメートルこそが適している。

2020年の今さらながらこの映画に出会ったことを私は後悔している。

もっと早く出会うべきだった。

いや、この年齢になれたからこそ、この作品の良さに気づけたのだ。

30代なら是非とも観て頂きたい良作でした。

秒速5センチメートルの名言

秒速5センチメートル劇中での私が心に沁みた名言をご紹介します。

貴樹

耳が痛くなるくらい押し当てた受話器ごしに、明里が傷つくのが分かった…。

でもどうしようもなかった…。

小学生の貴樹が、明里からの悲しい電話を受けた際の気持ちです。

今や懐かしい公衆電話から電話をかける姿が電話という2人だけの空間を印象づける役割を果たしていますね。

 

貴樹

その瞬間、永遠とか心とか魂とかいうものがどこにあるか分かった気がした。

13年間生きてきたことのすべてを分かち合えたように僕は思い、それから次の瞬間たまらなく悲しくなった。明里のそのぬくもりを、その魂をどのように扱えばいいのか、どこに持っていけばいいのか。それが僕には分からなかったからだ。

僕たちはこの先もずっと一緒にいることはできないとはっきりと分かった。

僕たちの前にはいまだ巨大すぎる人生が。茫漠とした時間が。どうしようもなく横たわっていた。

明里が住む遠い町まで電車で向かい、ようやく会えたのに、余計に大きな壁を感じてしまった貴樹の気持ち。

充実とともに、現実も突きつけられたことが貴樹に重くのしかかってしまったんでしょうか。

 

貴樹

彼女を守れるだけの力が欲しいと強く思った。

思いもよらず現実を突きつけられた貴樹はただただ無力な自分が嫌になったのだろう。

 

 

花苗

遠野くんは時々誰かにメールを打っていて、その度にそれが私宛のメールだったらいいのにって、どうしてもいつも思ってしまう。

純粋に恋する女の子の想いが溢れていていいですね。

恋人や友達とメールでやり取りをしていたあの時代が懐かしくなります。

 

 

花苗

遠野くんがいる場所に来ると胸の奥が少し苦しくなる

一見ただの恋の苦しさを表現しているようですが、それだけではないんですね。

次に続く言葉を見ていくと分かります。

 

花苗

彼は優しい。時々泣いてしまいそうになる。

 

貴樹

それは本当に想像を絶するくらい孤独な旅であるはずだ。

本当の暗闇の中をただひたむきに、ひとつの水素原子にさえ滅多に出会うことなく。ただただ深淵にあるはずと信じる世界の秘密に近づきたい一心で。

僕たちはそうやってどこまで行くのだろう。

どこまで行けるのだろう。

目の前を通る宇宙ロケットの部材を積んだコンテナ車を見つめ、貴樹が想いを馳せる。

 

花苗

お願いだからもう私に優しくしないで…

告白を決意した花苗だが、貴樹の優しさが自分に向けられていないと悟り涙する。

 

花苗

ただ闇雲に空に手を伸ばして、あんなに大きな塊を打ち上げて、気の遠くなるくらい向こうにある何かを見つめて、遠野君が他の人と違って見える理由が少しだけ分かる気がした。

そして同時に、遠野くんは私を見てなんていないんだということに、私ははっきりと気づいた。

2人の目の前で、ロケットが宇宙へ向けて打ち上げられていく様を見ながら花苗は気づいた。

 

花苗

私が遠野くんに望むことはきっと叶わない。

それでも

それでも私は遠野くんのことをきっと明日も明後日もその先もやっぱりどうしようもなく好きなんだと思う。

このシーンが私は1番好きです。

 

貴樹

ただ生活をしているだけで悲しみはそこここに積もる。

日に干したシーツにも

洗面所の歯ブラシにも

携帯電話の履歴にも

大人になった貴樹の生きる虚しさが伝わる言葉です。

 

これらの名言を読んでいると、気づくことがあります。

明里に優しくできなかったことと、自分の気持ちを伝えられなかったを後悔する貴樹は、無意識で女の子に優しくするようになり、さらに自分の想いも閉じ込めるようになり、それがかえって相手を傷つけ、自分のことも傷つけてしまうようになったんですね。

乗り越えようとしていた大きな壁を乗り越えられず、さらに自ら作り出して、一層高い壁にしてしまった。という感じですね。

まとめ:【30代で観ろ】新海誠『秒速5センチメートル』無料動画の感想

今さらながら新海誠監督作品『秒速5センチメートル』を観た感想を書きました。

今や日本のアニメーション映画界の巨匠になった新海誠監督ですが、こうやって初期の作品に触れるのもいいですね。

何気に君の名はや天気の子に通じる台詞の言い回しやシーン構成もあって楽しめますよ。

新海誠監督作品『秒速5センチメートル』
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